アイヌ民族に伝わるあの世観では、この世とはあべこべの世界であるという考えがあります
たとえばあの世とこの世とでは昼と夜があべこべであり、この世がお昼ならあの世は夜の時間で、あの世がお昼ならこの世は夜となります
また、あの世では、死んだ人たちはハエが天井に止まったように足を逆さにして歩いているとされます
この世とあの世は逆転した世界であるとする考えがあるのですね
実はこれ、当たっている面があると思います
あの世とこの世では価値観において逆転した考えがあります
たとえばこの世では子供が生まれると、みんな「おめでとう！」と喜んで祝福します
ですがあの世の住人は、苦労の多いこの世に生まれてきた魂を、心配して見つめ、これから経験する苦難を思い涙する者もいます
またこの世で亡くなって葬式となると、この世の人はみな悲しんで、涙を流して別れを惜しみます
しかしこれも、あの世の住人にとっては、ようやく苦界という苦しみの世界から、光の世界に帰れたことを喜ぶ祝日となります
またこの世では、地位や名誉があって、お金持ちなどが尊敬されます
ですがあの世の世界では、むしろこの世の物に執着せず、名声などにも気にせず、むしろ損を買って出て苦労している人の方が称賛されます
この世では何か人にしてあげて損をしたり、利益や賞賛を他人に譲る者は愚か者のように思われます
しかし、あの世では逆転しており、他人から利益や名声を奪う者、そうやって成功したり儲けたりする者は、むしろ蔑まれてしまいます
見返りもなく他人に尽くす人、自分の利益にならない事でも、率先して他の人のために励む者は、あの世において称賛されます
この世は一時の仮の宿であり、あの世こそが真の私たちの魂の故郷です
この世の価値観こそ、転倒していると気づくことが大切ですね
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