それは最も売れた時の本でもなく、希少価値のある幻の本でも、豪華な装いの本でもありません。
何処にでも売られていた普通の漫画ですが、ボロボロになった見た目はよくないものです
しかし、そのジャンプは、人々に分かち合う事の喜びを教えてくれるものでした
ただの漫画雑誌が、伝説のものとなった話を紹介します
平成23年(2011年)3月11日。東日本大震災が発生しました。
仙台では、ライフラインは翌日には復旧しましたが、本や雑誌の流通は完全にストップ。
子ども達が毎週読むのを楽しみにしていた漫画雑誌も本屋さんに届きません。
「おじさん、『コロコロコミック』届いた?」
「ごめん、まだ届かないんだ・・・」。 こんな会話が、あちこちの本屋さんで交わされていました。
テレビのスイッチを入れても、映るのは恐ろしい映像ばかり。だからこそ、子ども達に漫画本を読ませてあげたい・・・本屋さんもそう考えていたのです。
そんなある日、一人の青年が『少年ジャンプ』を持って仙台市のある本屋さんを訪れました。そして、その青年はこう言いました。
「これ、ボクはもう読んだので、もし良かったら子ども達に読ませてあげてください・・・」と。
この青年は、被災地の子ども達が大好きな漫画すら読めないという噂を聞きつけ、子ども達が一番読みたがっていた『少年ジャンプ』の最新号を山形市まで探しに行き、購入してきてくれたのです。
店主はありがたく受け取り、その『少年ジャンプ』を店頭に置きました。そして、立ち読みを自由にし、店頭に次のような張り紙をしました。『少年ジャンプ 3/19日発売号 読めます! 1冊だけあります!!』
この張り紙を見た子ども達が次々と店にやってきました。
噂はすぐに広がり、翌日にはお店に長い列もできました。
1人が読み終えると次の子に回し、声を出して笑う子ども達・・・。また、子供を連れてきて、「ずっと怖がっていた息子が、ようやく笑ってくれました・・・」と涙ぐむ母親もいました。
この1冊の『少年ジャンプ』の話は小さな新聞記事になりました。すると、この本屋さんに「この本も置いてほしい・・・」と全国からたくさんの漫画雑誌が届くようになったのです。
また、いつの間にか店頭に募金箱が置かれていました。
無料で読むのは悪い・・・と考えた子ども達が設置したのです。
子ども達が入れてくれた小さな気持ちは、いつしか4万円にもなりました。
店主は、そのお金を津波で被害を受けた地域に本を届けるプロジェクトへ寄付をしました。
数百人の子ども達に回し読みされてボロボロになったこの『少年ジャンプ』は、現在、発行元の集英社に「伝説のジャンプ」として額装されて保管されているそうです。出典 「本屋さんで本当にあった心温まる物語」 川上徹也著 あさ出版
いつもありがとうございます!
返信削除感動しました。
本当の愛ですね。心暖かくなりました!
ありがとうございます!