巷で言われている引き寄せの法則や、ポジティブ思考を進める風潮には、底の浅い部分があります
良いことのみを考えておれば、よいことが引き寄せられ、ネガティブな事を考えていると、ネガティブな事を引き寄せてしまう
そのため良いことばかり考えて、悪い事は考えないようにしようとするものです
確かに建設的な考えを持っていると、人生は好転していきますし、消極的な考えが強いと、不幸な流れに陥ってしまいます
こうした現象は事実としてありますが、不測の事態や、悪い事を考えておかなければならないこともあります
昨日の話しでは、最悪の事態を想定して、それを受け入れることで、悩みを克服する話をしました
こうした事は言ってみれば悪い事を考えてしまうため、悪い事を引き寄せてしまうと嫌われる傾向もあるでしょう
特に日本では好まれない場合があります
日本では昔から悪い事を想定したり、悪い未来を言葉にすることが嫌われていました
「縁起でもない」という言葉があります
たとえば受験生がいて、ある大学を受験すると聞いた時に「ひょっとしたら落ちるかもね」と本人や親族に言うと顰蹙をかうでしょう
そうした悪い未来を口にすることは「縁起でもない」ことで、実際に悪い事を引き寄せるように、昔から日本人は思ってきたのです
悪い未来は考えないようにし、よいことばかり言葉にしたり考えることがいいのだという思考は日本人には染み付いていると言えるでしょう
本当にそれで良くなっていくかというと、実はそうでもないのです
第二次大戦で日本はアメリカと戦争をしましたが、その時の戦い方を見ていると、間違ったプラス思考が失敗を起こしているのが見えます
作戦会議にあっても、これは負けるのではないか?という予想を口にすることは出来ず、無謀な作戦であっても必勝を期す思いで当たっていくしかない状況でした
結果的には敗れたとしても、それを事前に口にしようものなら、その人のせいで作戦は失敗になってしまうような見方をされます
国内での放送でも、「勝った勝った」と戦勝の報告ばかりで、敗戦の報道はされず、よいことばかりを口にしていました
そのように悪い事は口にせず、良い事ばかり考えて述べていたとしても、敗戦という厳しい現実を回避することは出来なかったわけです
普段から建設的で積極的な考えをしていくことは大切ですが、予想される悪い出来事について蓋をするのではなく、しっかりと想定して当たっていなくてはならないのです
第二次大戦でも、敗戦するなどと言う悪い事態は想定するものがおらず、だれも事前にどうすべきか考えていなかったため、傷を深くし、日本のダメージは大きくなったところがあります
最後は昭和天皇の聖断によって戦争は終わりました
もしも事前に日本の敗戦も考えていて、想定してなるべく傷を浅くするように考えを練っていたら、もっと傷は浅いものとなっていたかも知れません
大本営発表のようによいことばかり言って、悪いことは口にしないようにしても、悪い事態を回避することは出来ません
あらかじめ想定して対処して備えておくことが、傷を小さくして過ごすために大切になってきます
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