私たちの身体は、二つのレベルで、たえず入れ替わり、留まることのない変化の中にあります
固定された実体だと錯覚してしまう私たちの身体は、実はたえず変わっていて、留まることがありません
細胞レベル
人間のからだは「細胞」という小さな組織が集合して出来上がっています
いわば人間の身体というのは、60兆個の小さな生き物の集まりとも言えるでしょう
その細胞たちは、絶えず新陳代謝を繰り返しています
新陳代謝というのは、古い細胞が死んでいき、新しい細胞が生まれてくることを意味します
諸説ありますが、各器官の細胞は、以下の日数で入れ替わっているとされます
・胃腸は 40日
・筋肉は 60日
・肝臓は 60日
・血液は 127日
・骨は 200日
・腎臓は 200日
私たちを形作る細胞は、たえず変わっていっているのです
分子レベル
次に分子レベルでの入れ替わりをお話しします
食べ物を口に入れると、それが身体の分子と入れ替わりを起こし、入れ替わった分が排出されていきます
そうして私たちの身体は、生まれた時に身体を作っていた物質は無く、すべて入れ替わっています
これはルドルフ・シェーンハイマーの実験によって確認されたものです
シェーンハイマーは成熟したネズミに重窒素でマークしたロイシンというアミノ酸を含む餌を与えました
当初、成熟したネズミは体を大きくする必要がないので、摂取したアミノ酸は生命活動のためのエネルギー源となり、残りはほとんど尿や糞として排泄されると予測していました
しかし、実際の結果は、尿・糞として排泄されたのは投与量の29.6%だけ、56.5%は体を構成するタンパク質の中に取り込まれていたのです
取り込まれたものは、身体の様々な場所に分散されていました
つまり人間の身体も、取り込んだ食料の物質と、元の身体を構成していた物質が入れ替わり、凄いスピードで変わっていってたのです
肉体と魂
このように細胞レベルでも、分子レベルでも、私たちの身体は入れ替わっています
昨日の身体と今日の身体は少しづつ違っているのはもちろん、数年もすると身体のほとんどが別な物質に入れ替わっているのです
まるで川の流れのように、身体を構成する物質は、過去へと流されていきます
目の前にある川は、昔と同じような姿をしていると思っても、過去に見た水と、今流れている水は別なものです
そのように私たちの身体も川のように、その構成する水(肉体)は入れ替わっています
日々に入れ替わっている私たちの身体ですが、私たち自身は過去から現在まで、引き継がれているのを自覚しているでしょう
肉体を構成している物質が入れ替わるからといって、少しづつ自分が別なものに入れ替わっていると感じることはありません
そこには身体が変化しても、変化しない自己の主体が別にあるからです
過去から現在まで続いていると感じる実体は統一された意識にあり、その人間の意識というのは、実は思考するエネルギー体であり、魂と呼ばれるものです
肉体を構成する物質が変わっても、私という実体が変わるわけではないように、今世の肉体を脱ぎ捨てて、来世で別な身体に生まれ変わっても、私の魂はあり続けます
人は輪廻転生を繰り返す魂こそ主体であり、それは肉体が変わったとしても魂そのものは同一のものです
この世のものは、絶えず変化の中にあって、永遠不変のものは無いのだと説かれたのは、2500年も前の仏陀です
仏陀は諸行無常と説かれました
この現実の世界のあらゆる物は、絶えず変化し続け、永遠なるものは一つもないということです
では、すべてが変化して、永遠なるものは無いかというとそうではありません
この世の物事は絶えず移ろいますが、真実の世界、実相世界においては、永遠なるものがあります
人は真実の世界・霊的世界の事を忘れてこの世へと降り立ってきますが、微かな記憶の中で永遠なるものの思い出が残っており、それゆえに永遠なるものを追い求めていくのでしょう
この世には永遠不変のものは無く、あの世にこそ永遠なるものは存在しています
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