ベストセラーとなった渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」を参考に、忍耐と勇気について考えてみたいと思います
渡辺和子さんはキリスト教カトリック修道女で、ノートルダム清心学園理事長をされています
1927年生まれで、2016年に89歳でお亡くなりになられています
2012年に発売した著書『置かれた場所で咲きなさい』が、200万部を超えるベストセラーとなり、読まれた方もいらっしゃるでしょう
以下に本の内容紹介を引用します
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。咲けない時は、根を下へ下へと降ろしましょう。「時間の使い方は、そのまま、いのちの使い方なのですよ。置かれたところで咲いていてください」結婚しても、就職しても、子育てをしても、「こんなはずじゃなかった」と思うことが、次から次に出てきます。そんな時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。
こうした考えは先日の動画でもあげました「幸福への道はただひとつ」の記事のエピクテトスにも通じるものでしょう
エピクテトスは奴隷の身ではありましたが、どうにも変えられない環境の中で、心を変えることを提唱しました
そのように人にはどうしても変えられない環境因子があって、そうした時には自身の心の自由でもってあたらなくてはならない事があります
たとえば自分の両親のもとに生まれた事実は変えることが出来ず、別な人の子として生まれることは出来ません
戸籍は変えられるかもしれませんが、両親のもとに生まれた事実は変えることができません
あるいは田舎に生まれ出て、都会にあこがれを持っていても、田舎生まれは変えることができません
お金持ちの家に生まれたかったとか、名門の家に生まれたかったといっても、家庭の事情は変わりません
なかには日本に生まれるのが嫌だと思う人もいるかも知れませんが、大人になって国籍を変えることは出来ても、日本に生まれたという事実は変えることが出来ないでしょう
そのように不可抗力でどうにもできない出来事に対しては、受け入れて生きざるをえません
そうした場合には、置かれた場所で咲くことは大切です
植物は自ら望んで生える場所を選べず、その場で頑張って綺麗な花を咲かせる努力をします
日当たりもよく、水もたくさんもらえる環境にある他の花を恨むことなく、ただ自らに与えられた環境で綺麗な花を咲かせます
人間も変えられないものに関しては、忍耐して克服しなければならないところがあります
ですがそればかり強調すると、新たな環境に飛び込む勇気が持てず、いたずらに置かれた環境の中で腐ってしまう人もいます
今までの話しを覆すようではありますが、その場所が自分の居場所なのかどうかを見極め、時には新たな道を切り開く勇気も必要になってきます
日本人はまじめな人が多いため、そうした耐え忍びの徳のようなものに惹かれやすく「置かれた場所で咲きなさい」の本もよく売れたのだと思います
ですが人間は植物とは違って、自分の足で歩いて別な場所に移動する能力を神様から与えられています
それは新たな環境を選んでよいという神様からのプレゼントなのです
どうしても不可抗力な物事に関しては、上記のように自らの考え方を変えて乗り切らねばなりませんが、必要な時には新たな環境に進み出るべきなのです
真面目な人ほどウツになりやすく、過労死自殺をされる方も出てしまいますが、そうなる前に今ある場所を変えることも必要でしょう
職場を変えて、新たな道へと歩まなくてはならないこともあります
過労死にまで追い込まれる前に、自ら環境を変える勇気も必要です
ただ置かれた場所で咲こうとばかりしていては、自分の荷に負えなくなり、潰されてしまう事があります
そうなる前に、違う道を選んでいく必要があります
人間は新しい環境に向かうのが怖くて、現状にしがみついていたい習性があります
過酷な労働環境の職場でも、無理して身体を壊すまで働いたり、過労で倒れるまで職場にい続けたりします
あるいはDVの男性と別れられずに、そのままずるずると耐え忍んでいる人もいます
そうした人は、忍耐という言葉で誤魔化し、自分が新たな環境に移る勇気がないのを正当化させる場合があります
カエルは高温のお湯に入れると、驚いてジャンプして出ていくので助かりますが、はじめは低温の水につけて、徐々にお湯を加えていくと、飛び出すことも無く茹で死んでしまうと言われます
人間も同じように、今置かれている環境から飛び出すことなく、ゆっくりと茹で上がってしまうことがあります
そういう時には、思い切って抜け出す勇気が必要です
日本人は昔から稲作中心の社会に生きてきました
稲作では田んぼを水平にならし、水の通りも作るため、稲作をしやすい土地に集団で暮らすようになります
みんなで集まって水を公平に分配するなど、全員が抜き出ることなく平等になることを重視します
稲作ではそうして村人同士の繋がりがなくてはならず、そこから抜け出したら死んでしまいます
そのため日本人はみんなと協調することを重視し、突出したり抜け出すことを特に恐れるようになっていきました
現代人にもその意識は続いていて、新たな環境に移り変わることを恐れて、茹でガエルのように、ゆっくりと滅んでいくのを持つ状態ともなります
あまり次々と職を変えていって、生活が苦しくなることもあり、新たなものにチャレンジするだけで忍耐が無ければモノにならないことがあります
よく聞く話では、就職されてから、上司に叱られたりだとか、取引先とうまく行かないなどの理由で、すぐに辞めてしまう人もいます
そうした人は飛び出す勇気はあるのでしょうが、今度は忍耐が不足しているわけです
そのように忍耐と勇気と、両方がバランスよくあってこそ、物事はうまくいきます
自分の置かれた環境で頑張るべきか、新たなチャレンジをしていくかは、自分に忍耐が足りないか、勇気が足りないのかを見極めて、バランスよく判断していくことが必要です
1 件のコメント:
このご時世は厳しく、搾取が行われていますが、自分の意志を大切にしながらもやりたいことを頑張ってみるのも一興かもしれませんね。厳しい社会ですが、世の為人の為に頑張って生きようと思います。