幸福への道はただひとつしかない。意思の力でどうにもならない物事は、悩まないことである。
上記の言葉はエピクテトスという哲人の言葉です。
彼について少しお話ししましょう。
エピクテトスは古代ギリシャのストア派の哲学者で、西暦50年ごろ - 135年ごろまで生きられました。
ちなみにストア派からストイックという言葉が出てきています。
彼は奴隷の哲学者としても有名で、かつてはローマで奴隷として暮らしていました。
エピクテトスは片足が不自由な姿で描かれますが、奴隷時代に主人によって折られたからだという話があります。
機嫌の悪かった主人は、エピクテトスの足を捻じ曲げようとしました。
すると彼は「こんな方向に曲げたら足が折れてしまいますよ。いいんですか?ほら折れてしまいました。」というような、まるで人ごとのような言い方をしていたと言われます。
また奴隷として仕えていたエピクテトスは解放されることになった時の事。
主人が「お前は我がお前を解放することを願うか」と言いました。
するとエピクテトスは答えて云います「はたして私は縛られていたのか?そうではない、私の霊魂は決して縛られてはいない」と。
エピクテトスは奴隷として、肉体は拘束されようとも、魂の自由は私にはあると説いた方です。
どのような環境に置かれようとも、それをどう感じ、どう受け止めて考えるかは、私たち自身にかかっているのです。
彼は奴隷として暮らさなければならない事からは逃れられず、自分の自由にはなりませんでした。
主人が怒ってエピクテトスの脚を折っても抵抗できませんし、それは主人の自由であるというのです。
しかしその出来事をどうとらえ、考えるかは自分の自由であるとする、内面の自由を説きました。
外部の出来事は自分の自由にはならないが、内面の自由は誰にも犯すことは出来ないと説いているのです。
彼の哲学は意志の哲学であり、自己の支配が及ぶ内面の意志的活動と、自分の統御下にない社会的なものとの区別を明確にし、一切の苦悩から自由となり心の内に平静を獲得することをすすめます。
彼の言葉には以下のようなものがあります「人間を不安にするものは物事そのものではない。物事に対する見解が人間を不安にさせる。」
外に現れた出来事が私たちのあり方を決めるのではなくて、それに対してどう捉え、考えていくかで決まっていきます。
たとえば教師から校庭を走らされたとして、単に「苦しい、早く終わらないか」と嘆いたり、怒りを覚えることもあるでしょう。しかし、考えを変えて、「筋力が付けられるいい機会だ。ジムに行けばお金かかるけど、こうしてタダで走れる機会を得られた」という風に切り替えることも出来ます。
あるいは仕事についても、英語が苦手なのに海外出張を命じられることがあります。
その時に「出来ないことを任されて嫌だ。もう逃げ出したい」と思う事も出来れば、「これはよい機会だ、学生時代に勉強できなかったから、この機会に勉強しなおそう」と考えることも出来ます。
与えられる出来事を変えることは出来ないかもしれませんが、それをどう受け止めるかは本人の意志に関わっているのです。
そのため「幸福への道はただひとつしかない。意思の力でどうにもならない物事は、悩まないことである。」と彼は言います。
自分の自由に出来ないことに関しては思い悩むのは無駄であり、そのなかで自分がどう思い、考えていくかを決めていくのが大切だという事でしょう。
幸福を選択するか、不幸を選択するかも、外的な要因で決まるのではなく、私たちの考え方の中にあります。
起こる出来事をどのように捉え、どのように考えるかは、各自の自由に任されたことであり、誰にも支配されない自由の楽園がそこにあります。
エピクテトスの言葉に「自由な意思は、盗人の手の届かない財宝である。」というものもあります。
私たちの思いというものは、誰にも手の届かない、何物にも代えがたい宝物のようなものだという事です。
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エピクテトス。何となく親和性を感じます。浮かんでくる言葉があったので以下に書き留めておきます。
返信削除心の王国は自分意外の誰のものでもなくその支配権は神によって委ねられたものであり、すべての人間が平等に有している自由である。知らず知らず心の侵略者に精神エネルギーを奪わせてしまってはならず、また奪おうとしてもならない。
自他共に神より託されたこの王国の平和を護り、豊かに育み、実りを互いに分かち合う美しき繁栄の世界を築くのだ。
目に見える世界において支配欲を戦わせるとき、心は自由を失っていることに気づかねばならない。
目に見えぬ自らの心の世界をよくよく支配し得てこそ真に心は自由を得るのだ。
人生の中で先生、師にお会いできたことは本当に幸せなことだと思いました。
返信削除エピクテトスのように心を強く自由にしておけるよう意識してやっていきます。
いつもありがとうございます。